【第2期参加】プロセスワーク×ファシリテーション×ビジネス。すべてのつながりが学べる講座だった

2022年9月より4ヶ月間にわたって開催された「今ここから始まる組織進化の実践講座」<第2期>。合宿形式による入門講座、さらにオンライン形式で学ぶ本講座を通じて得た学びの変遷について、お話を伺いました。

株式会社ウィルグループ

人事本部 人材開発部

下釜 空

プロセスワークとビジネスをつなぐToBeingsならではの講座に惹かれて

──下釜さんの、これまでのキャリアについて教えていただけますか?

株式会社ウィルグループ 人事本部 人材開発部で働いています。2004年に新卒入社し、20年ほどになります。営業部に7年いて、色々と経験させてもらった上で、人事として人材開発、ピープルアナリティクス、組織開発の仕事に関わっています。

──ウィルグループ全体のミッションについて、教えてください。

グループのミッションは「個と組織をポジティブに変革するチェンジエージェント・グループ」というもの。個人や組織、その集団──集団は企業でもNGO・NPOでも何でもいいのですが──をポジティブに変革することを掲げています。

我々のサービスやプロダクトが、人を通じて世の中や組織をポジティブに変革していく「チェンジエージェント」という存在となり、そうした存在が集まっているグループであろうとしています。「チェンジエージェント=変革請負人」のようなイメージですが、「他人を変えること」ではなく「自分自身が変革・成長することによって、周りを巻き込む力を手に入れて、より周りに良い影響を与えてどんどん変えていこう」というもの。それをポジティブに、もしくはウェルビーイングにしていく集まりになろうというミッションに込められた意図に、僕は非常に共感しています。

さらにグループが大切にしている価値観として、「Believe in Your Possibility -可能性を信じる-」があります。コアバリューとも呼んでいますが、仲間の可能性はもちろん、自分自身の可能性を信じることを大切にしています。「根拠なき自信」とも言えますね。初めてのことをやる時や、新しいことへのチャレンジには不安が生まれます。でも、自分の可能性と仲間の可能性を信じていたら、一歩踏み出せる。そうしたコアバリューに非常に共感して、入社しました。

実際に入社してみて感じたのは、本当にチャレンジする人が多いということ。そのため組織も常に変化してきました。僕自身は従業員数60名の頃に入社したので、当時はベンチャー企業の雰囲気も強く、いつも夜遅くまで働いていました。当時からの、仕事を心から楽しみ、取り組んでいる同期も数人残っています。そうした活気のあるメンバーと今でも一緒に働けているところに、魅力を感じています。

──グループのミッションと当講座に、共通する部分があるように感じますね。当講座を受けようと思ったきっかけは?

そうですね。個人的には、自分の所属している部署で組織開発をしているため「自分のスキルアップにつなげたい。ファシリテーションスキルをより高めたい」との気持ちが大きかったです。

またプロセスワークという学問にも興味があり、「プロセスワーク×ファシリテーション」について学びながらビジネスの領域でも応用しているのはToBeingsの講座ならではないかと。興味を惹かれる内容がすべて、入っていたんです。

プロセスワークについてはすでに学び始めていましたが、ビジネスの世界と遠いような感覚がありました。学びとしては楽しかったのですが、ビジネスと掛け算しながら繋いでいけるようになりたいと考えていた矢先に「講座を通じて学べる」と知ったんです。そこに興味を持って、参加することになりました。

参加者同士で学び合い、「それでいいんだ」と勇気が持てた

───実際に講座を受けてみて、いかがでしたか?ビジネスとの「かけ算」に繋がったのでしょうか?

繋がりましたね。ToBeings代表の橋本さんの解説に、ビジネスで使う際の工夫が散りばめられていました。専門用語を使わずに話をしてくれたり、日常で橋本さん自身が工夫されているポイントをシェアしていただいたり、とても参考になったと思っています。

また講座内で「フラクタル構造(※)1」について学びましたよね。それについて参加者同士で議論になったことが、印象に残っています。巨大なものを相手にすると自信を失ったり、何から始めれば良いのか分からなくなったりしますよね。ビジネスとして進めるにあたり、何をやっていこうか迷ったりもします。でも橋本さんから「そもそも自分自身の中から、半径2mからやれば良いんだ」と何度も言っていただいて、「それでいいんだ」と勇気が持てました。この感覚が持てたことは、大きかったです。「プロセスワーク×ファシリテーション×ビジネス」が学べた実感がありました。
  1. フラクタル構造(※)
    フラクタルとは「相似系」のこと。組織の課題や可能性、変化のパターンは自分の周囲の「関係性」の縮図のようになって現れる。最小単位の関係性が、組織全体の課題の相似系(フラクタル)のような構造となっている。 ↩︎

──受講前に期待していたこととのギャップはありましたか?

期待に近いところと、遠いところの両方がありました。近いところは、「かけ算」の部分が具体的に理解できたことです。

もう少し深く学びたかったのは、アドバンスド的な部分。“応用アドバンスド講座”があれば、さらに聞いてみたかったです。例えばケーススタディの具体例や、プロセスワーク的な見立てについて聞いてみたい。僕は知識欲が高いタイプなので、「今の場合はこういうふうに見立てました」と解説があると嬉しくなってしまいます。そうしたマニアックな内容で、組織進化の裏側にあるものを橋本さんの中から出し切っていただき、見てみたいです。とは言え、そういう設計にしてしまうと難しい部分もありそうですよね。

個人の見立てに関してはフィードバックをいただいていたのですが、「自部門に当てはめた場合の見立て」のような体験・トレーニングがあると、良かったのかもしれません。

自分の半径2mからコツコツやれば大丈夫と思えるように

──受講後にご自身のなかで何か変化はありましたか?

より自信を持って、そういう場に臨めるようになったと思います。講座を通じてトレーニングを積んだ感覚もありますし、いろいろな学びも得ました。「半径2mからコツコツとやっていけば、絶対に繋がっていく」ということが信じられるようになったのも、自分の自信になっていると思います。

あとは、イニシャルシステムを信じるというところですね。実際にコンテクストセッティングにチャレンジしてみたり。そういう変化はありました。僕はどちらかというと、言語や事実、内容にフォーカスしてしまいがちなんです。少しずつですが、“Feel”の感情の部分やエネルギーを捉えるメソッドを意識できるようになったかなと。

加えてこれは体感知ですが、橋本さんからのアドバイスがきっかけで得た学びもありました。会議のファシリテーターを務めるワークをやってみた時に、「ここに注目してみて」と橋本さんがその場の流れを一時停止しながらアドバイスをしてくれたじゃないですか。「こんなに解像度を高く見るんだな」と思いました。とても細かくて良かったですね。「この流れを終わらせるのか、一旦このままいくのか。ここで考えておくべきかも知れない」とか、そうしたフィードバックをいただいて、思いました。

「ファシリテーターはここまで見ておくのか。ここまで掴んでおくんだな」と。ファシリテーターとしての基準を上げていただいた感じです。社内会議で自分がファシリテーションをする場でも、同じようなスタンスで臨んでいこうと思えるようになりました。場が静かだったり、顔の表情が少し変化していると「何かありますか?」と、前よりも突っ込んでいけるようになったと思います。意思決定者に対しても、「これで大丈夫ですか?」と最後に確認できるようになったかもしれません。幸い、弊社のカルチャーとして心理的安全性が比較的高いので、意思決定者であっても意見は伝えられている方です。そこまで恐れも感じていません。こうした講座での経験が自分自身の内面、セルフアウェアネスを高めてくれているので、周りの影響でブレたりしなくなってきているのかもしれませんね。

自分の身の周りからやっていけば良いんだとか、自分自身がちゃんと整っていれば大丈夫という信念が得られたところがやっぱり大きい収穫でした。

──下釜さんが「名参加者ファシリテーター」と言われていたワークもありましたね。

「参加者ファシリテーター」という概念を知らなかったこともあり、かなり意識するようになりました。自分がファシリテーターではない場合でも「その場に出て行って良いんだ」と気づきをもらえました。「参加者ファシリテーターとして見えているものがあれば、言っても良い。むしろ大事なことだ」と何回もおっしゃっていたと記憶しています。

それと「5%は分析脳。自分の内面に5%の意識を向けてみましょう。あとの90%は相手のシグナルとエネルギーに向けておきましょう」など、配分も明確に示されていましたよね。そうした解説が、僕にとっては本当に分かりやすくて良かったんです。

自分の内面に5%の意識を向けておくのはめちゃくちゃ難しいですけど、意識するところはできるようになりましたし、より整理ができたのも良かったです。また、「分析脳もあって良いんだな」というのも発見でした。僕が得意な部分を捨て去らなくても済んだわけです。むしろ確かに置いておかなければいけないと分かったので、それも自分の自信に繋がりました。どうしても整理したくなってしまう性格なので、そういうのが示されたのも良かったです。

──部下の皆さんとのやり取りなど、組織における変化は感じていますか?

弊社では360°フィードバックを取り入れており、部下たちからも半年に一度はコメントと人材要件に対する評価をもらっています。それによると、僕に対しては「常に新しいことを学ぼうとしている姿勢がある」と言われています。

僕から見ると「もっと新しいことにチャレンジしてみれば良いのに」と思うようなメンバーもいるので、そういう人に響いてくれれば嬉しいと思いますね。お互いにアセスメントを開示しているので、みんなも「下釜さんは学習力や向学心が高いんだ」と認知してくれています。一方で、それがどういう影響を与えているのかを知るのは難しいですね。

ただ、関係性の質を測るサーベイや定期的に受けているWell-beingサーベイの結果を見る限りでは、人材開発部も人事本部全体にも良い影響を与えているのではないでしょうか。幹部が集まって議論する際にも、講座で学んだファシリテーションスキルを活かしていますし、本部長が議長の時には参加者ファシリテーションを心がけています。

混沌とした組織に対するファシリテーションへの興味

──今後、さらに探究を深めながら学んでみたいことはありますか?

所属している部署のビジョンに「未来を創る、カルチャーを創る」というものがあります。僕らが進めている組織開発・人材開発は外面の設計をうまくするだけではなく、ちゃんと内面に踏み込んでやっていこうとするスタンスを取っています。それがカルチャーを創っていくと思っていますし、カルチャーのガーディアンであり、作り手だというアイデンティティを持ってやっていきたいと感じています。

部署としても個人としてもそうした意識は非常に強いです。1人ひとりが変わっていけば、カルチャー変革にもつながります。例えば1on1でコーチングスキルを身につけ、社内に広めていくことは大事だと思います。個人がセルフアウェアネスを高めて、本質的に変革していく必要があると考えていたため、自分自身でも学んでいた時期ももちろんありました。

しかし、今は組織開発やファシリテーションなど「対 個人」がうまくいく時のインパクトの大きさに興味を惹かれていますね。カオスな状態の組織内で取り組んでいくことに面白さを感じていて、結局は個人・組織の両方の視点を高めていく必要があると思うようになりました。表にはあまり立ちたくないので、組織の裏側でファシリテーションを回しながら良くなっていくように仕向けたいです。そうすれば良いカルチャーになるでしょうし、今のカルチャーも失われずに済みます。人事という立場上、制度設計やトレーニング導入などさまざまな手段が使えますがそれはもう十分。ToBeingsで身につけたファシリテーションの面白さを知ってからは、即興の場・カオスの場への関心が高まって来ています。

──改めて振り返ってみて、この講座はどのような方に向いていると思いますか?

あえて言うなら人事ではなくて、部門トップや営業、事業側の方に向いていると思います。事前動画でのインプットも含めると「体験と入門」がセットで味わえますから。

最初から興味を持っている方は少ないかもしれませんが、事業部門の方が参加すれば連携がしやすくなり、組織活性につながりそうなイメージがあります。実際、現場の様子を見て「もっとうまくやれれば、もっと良いパフォーマンスが出せそうなのにな」と感じることもありました。ただ人事担当としては、すべてその場に入ることは物理的にできません。ある程度、組織を見ている「現場のマネージャー」のような立場の方が、こうしたスキルを身につけると強いと思います。

また事業のトップが「そこは大事だね」となった瞬間に、大きな影響力が発生するでしょうから、組織改革のスピードも速くなりそうですよね。「対話を重視しよう」「メンバーの内面について聞いてみよう」と接しながら、数字へのこだわりも持つ。そんなふうにシグナルが掴めるようになれば、周りも連鎖して変わっていくんじゃないでしょうか。

現場のリーダーやマネージャーが講座に参加して学び、組織を変えていく。それももちろん大切ですが、上から一気に変革を進めていく方法も大切です。草の根活動も続けながら、両方向から変革を推し進めて組織カルチャーを変えていけば、効果は高いですよね。

──最後に、本講座を受けてみて感じたことをお聞かせください。

たくさんの学びがあり、自分自身の行動や発言が変わったと認識できるありがたい機会でした。一緒に参加したメンバーとも交流を深められ、他社のHRBP担当の方と情報交換ができたのも嬉しい収穫でした。共通の話題も多く、修了後も引き続き連絡を取っています。

プロセスワークを土台にしながら、ビジネスと掛け合わせた形でファシリテーションについて学べる点は、ToBeingsならではの強みだと感じました。内面をきちんと見つめながら、ビジネスの実践の場で活かせる点が、他社の講座にはないマニアックなところです。

これからももっともっと経験を積んで、ここでの学びを忘れないようにしたいですね。

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