組織の根本にある「関係」を適切に取り扱えるから、ToBeingsの伴走を継続している─わらべや日洋食品株式会社

取締役専務執行役員 管理部門統括 兼 財務企画部長 |浅野 直 さん

執行役員 チルド商品部 部長|喜屋武 貞史 さん

チルド商品部 調理パン課 課長|植松 拓也さん

(写真左から株式会社ToBeings児玉、わらべや日洋食品株式会社喜屋武さん、浅野さん、植松さん、ToBeings橋本)

わらべや日洋グループは、コンビニエンスストア向けにお弁当やおにぎり、お惣菜などを提供する中食事業を展開している。食材の調査・調達から中食商品の開発や製造、配送・物流に至る「一貫システム」を構築し、一連の工程をグループで行うことで、おいしく価値のあるサービスの提供を可能にしている。わらべや日洋食品はその中核企業として、国内のセブン-イレブン向けに調理済食品の供給をしている。

ToBeingsは2022年から、わらべや日洋食品・商品部の皆さんとともに組織開発プロジェクトに取り組んできた。商品部メンバーへの個別インタビューに始まり、企画チームの組成と対話、椿山荘オフサイトミーティング、第2企画チームの組成と対話、組織進化講座への社員派遣、調理パン課・おにぎり課の変容トライアルなど、2024年6月現在(取材時)も継続的に伴走を続けている。さらに現在は、より社員数の多い製造部の組織変容にも取り組み始めている。

この組織開発プロジェクトによって、何がどのように変容したのか。わらべや日洋食品の皆さんは、なぜToBeingsの伴走を継続しているのか。取締役専務執行役員の浅野直さん、執行役員の喜屋武貞史さん、変容トライアルを実施した調理パン課の課長・植松拓也さんに伺った。

組織に何が起きているのか分からなかった。藁にもすがる思いでToBeingsに連絡した

取締役専務執行役員 管理部門統括 兼 財務企画部長|浅野 直 さん

――2022年、なぜToBeingsに問い合わせをしたのですか?

浅野:当時、商品部全体に、離職者が続出していました。しかし私たちには、その問題の背景を明確に把握できなかったのです。私や喜屋武は、離職者や社員たちにインタビューして解明を試みたのですが、彼らの心の奥にあるホンネまで聞きだせている自信はありませんでした。制度面では、女性活躍・外国人活躍のための人事制度改革「WAP2020」などの打つべき手を打っていました。私たちなりに、革新的な制度・システム改革を推し進めていたのです。それにもかかわらず、人事的な問題は大きくなるばかりでした。このまま放っておくわけにはいきませんが、解決策はまったく見えませんでした。私は追い詰められていました。

そのときふと、数年前にToBeingsの橋本洋二郎さんや児玉千織さんたちに出逢い、強烈な印象を受けたことを思い出したのです。この問題は通常のコンサルタントには解決できないだろう。WAP2020で明らかなように、制度やシステムを変えれば解消できる問題でもない。しかしToBeingsなら、もしかしたら何とかしてくれるかもしれない。私は、藁にもすがる思いで、児玉さんに連絡したのです。

対症療法ではなく「皆で気づき、皆で変わるための対話の場を開きましょう」と提案を受けたのが斬新だった

――私たちは浅野さんに状況をヒアリングした上で、最初に2022年7月から商品部の皆さんに個別インタビューをしました。これが一連の組織開発プロジェクトの始まりでしたね。

浅野:最初は、単なるインタビューでは何もわからないのでは、と感じていました。私たちが先にインタビューしていたわけですから。ところがToBeingsの個別インタビューでは、私たちが聞きだせなかった一人ひとりの深い想いをヒアリングしてもらえました。さらに、商品部のメンバーたちが深層心理で感じていた感覚を「終わりなき自転車操業による徒労・喪失・不安の蓄積」というキーワードにまとめてもらえました。

――私たちは外部者として、社員の皆さんの痛みや恐れを掘り下げ、心の奥にある打ち砕かれた願いや「私は本当はこうなりたい」という想いを引き出し、言葉にならない深層心理にまで耳を傾けることを大事にしています。だから、「終わりなき自転車操業による徒労・喪失・不安の蓄積」という社員の根っこの意識を抽出できたのだと思います。

浅野:それからインタビュー終了後に、ToBeingsの皆さんから「心理的に安心安全な対話の場を創りましょう」と提案を受けたのが印象的でした。通常のコンサルタントは、問題を見つけたら、それを潰すための対処策を提案するでしょう。しかし、ToBeingsは「対処療法で問題解決をしても、現場の皆さんの本質的な意識やカルチャーは変わりません。それよりも、現場の皆さんに、自分の変化の道筋を主体的に描いてもらうことが大事です。その第一歩として、皆で感じ、皆で気づくための対話の場を開きましょう」というのです。これは私にとって斬新でした。私たちは製造業ですから、対症療法的なカイゼンは得意です。しかし、こうした対話の場を開くようなことは苦手としています。そもそもそういう発想がありません。これは専門家に頼む意味があると思いました。

――私たちはそうして浅野さんの同意を得て、次に安心安全な対話の場づくりを手がけました。最初に「企画チーム」を組成し、2022年11月から計8回の対話セッションを行いました。企画チームは商品部から6名を選抜してもらい、そこに浅野さん・喜屋武さんなど上層部が加わる構成にしました。
このようなチームを組成するとき、私たちは「チームを全体の縮図にする」ことを心がけています。全体の縮図にすると、全体の問題が浮かび上がってくることが多いからです。通常の選抜チームには、社内で目立つメンバーや、モチベーションの高いメンバーだけが選ばれがちです。しかし、それでは全社の縮図にはなりません。私たちのチームには、あえてそうでないメンバーにも加わってもらい、全社の縮図を形成するようにしています。今回もそのようにして6名のチームを組みました。企画チームの対話セッションには、浅野さんにも参加してもらいましたが、いかがでしたか?

浅野:対話セッションは面白かったです。私は、商品部とはある面で緊張関係にあります。しかも、私が対話した相手は、親子ほど年の離れた20代女性社員2名でした。参加前、私は彼女たちとは何もわかり合えないかもしれない、と不安に思っていました。しかし、自分たちの幼い頃の話などを交わし合っているうちに、確かに関係性が良くなっていったのです。驚きました。

――私たちから見ると、女性社員たちが、浅野さんに対して心を開いて話しているのが印象的でした。浅野さんたちだけでなく、企画チーム全員がセッションを重ねるごとによそ行きの会話ではなく、想いが溢れて本気になっていきましたよね。そして、後半のセッションで「商品部全員でオフサイトミーティングを開催しよう!」と盛り上がり、開催が決まりました。

椿山荘オフサイトミーティングで、皆が「週休3日制のようなことを提案していいんだ!」と気づいた

――そうして、2023年3月に椿山荘で商品部のほぼ全員が集い、オフサイトミーティングを開催しました。いかがでしたか?

浅野:実は、商品部のほぼ全員がオフィスを離れるのは、極めて難しいことです。お客様のセブン-イレブン様とも、製造部ともまったく連絡が取れなくなるわけで、通常はありえないことなのです。しかし、私たちは両者にしっかりと了承を取った上で、ほぼ全員参加のオフサイトミーティングを開催しました。組織を変容させ、問題を解消するためには、この場が絶対に必要だと考えていたからです。私たちの本気は、商品部や社内の全員に伝わったと思います。オフサイトミーティングを開催すること自体が、社内への強いメッセージになっていたわけです。

しかし、ミーティングの序盤は緊張感があり、皆が自分主語で話をするような空気ではありませんでした。午前中、私は少し不安になっていました。ところが、「私の推しマップ」で推しを紹介し合ったり、「ストーリーテリング」で自分の根っこを探究したりしているうちに、場が少しずつ深まり、想いが溢れてきました。そしてランチ休憩後、ある一件によってその想いが集大成のように結実し、雰囲気が一変したのです。それは、創作・寸劇・新聞などのメディアを使って「望ましい未来を描く」ワークで起きました。あるチームが、新聞に「週休3日制!」と書いて、周囲の「いいね」をたくさん獲得したのです。このとき全員が、「私たちは、週休3日制のようなことを提案していいんだ!」と気づいたのです。自分も一社員としてさまざまな提案の声を上げてよいのだ、そうした提案をできるだけの力を持つ存在なのだと悟ったのです。

浅野:この後は、とにかく盛り上がりました。特に印象的だったのは、いつもおとなしくしている中高年男性社員たちが実に楽しそうに話していたことです。彼らも本当は話したいことがいろいろあったのだとわかりました。それから実は、わらべや日洋ホールディングスの大友啓行・代表取締役会長がオフサイトミーティングをお忍びで視察して、「この取り組みはいい!」と喜んでいたのも嬉しい出来事でした。さまざまな意味で、本当に意義のある場になったと思います。

植松:私はちょうどそのとき海外出張中で、オフサイトミーティングに参加できなかった例外社員の1人です。帰国後に、「これまで接点のなかった人と創作したり対話したりして楽しかった!」とか、「仲間たちのいろんな側面を見ることができた。印象の変わった人がたくさんいる」といった声を耳にして、私も参加したかったと思いました。

喜屋武:私は、オフサイトミーティングを開催できてよかったと思ったと同時に、これで組織開発プロジェクトは完了という風潮が出てきたら、抵抗しようと思っていました。むしろこの後が大事だと思っていたからです。しかし幸いなことに、第2企画チームを結成しようとする流れが生まれてきて、ホッとしました。

調理パンチームが自分たちの意志で、働く場所と時間を本当に自由にした!

チルド商品部 調理パン課 課長|植松 拓也さん

――喜屋武さんの言うとおり、椿山荘オフサイトミーティングから「第2企画チーム」を結成するという皆の願いが出てきました。そこで2023年5月、最初の企画チームのメンバーが半分残り、そこに新たなメンバーを加えて、第2企画チームを組成しました。第2企画チームでは、「オフサイトミーティングの成果を具体的にどう前に進めていくか」というテーマのもと、全6回の対話セッションを実施しました。ここからは植松さんにも参加してもらいました。

第2企画チームで話し合った結果、現場メンバーが主体的に動いて、より手触り感のある成果を出すチャレンジをしてみることに決まりました。具体的には、「調理パン課・おにぎり課の2課で、働き方を軸とした変革を起こす実証実験を行う」ことになりました。そこで私たちは2023年9月から2024年2月まで、調理パン課とおにぎり課の「変容トライアル」に伴走しました。このとき、特に植松さんには、調理パン課の課長として密に関わってもらいましたが、いかがでしたか?

植松:先ほども話したように、私は椿山荘オフサイトミーティングに参加できなかったので、第2企画チームや変容トライアルの場で、対話セッションの意味や意義をはじめて知りました。最初は、何を話し合って何をするのか、不安でしかありませんでした。ところが、対話セッションを重ねるうちに、課のメンバーが本当に言いたいことを言い合える雰囲気がだんだんでき上がっていったのです。

調理パン課は、以前からメンバーの仲が良く、コミュニケーションもよく取っていました。ただ振り返ると、お互いに不平不満を言い合ったり、主義主張をし合ったりすることはあまりありませんでした。それが変容トライアルの対話セッションを通して、何でも言い合える関係性に変わっていったのです。

その結果、変容トライアルの第3回セッションで「働く場所と時間を自由にしたい」というアイディアが出てきて、若手社員が「早速、来週から始めましょう!」と言い出したのです。正直に言って、驚きました。なぜなら、調理パン課の主な業務は新商品の企画や試食であり、これらは本社内でしか実行できないからです。そのため、調理パン課では、私も含めて全員がリモートワークなど不可能だと思い込んでいたのです。しかし、このアイディアが出て、皆であらためて話し合ってみると、レポートやメールを書く作業など、リモートワークでも可能な仕事がそれなりにあることがわかりました。私たちは、やろうと思えば、ある程度は働く場所と時間を自由にできたのです。皆で話し合って、早速実験してみることになりました。

それにしても、短期間でメンバーたちのマインドセットがこれほど大きく変わるとは思ってもみませんでした。人って、こんなに変わるのですね。

――そうだと思います。より正確にいえば、人が変わるというよりも、個人の内省や、環境や人との相互作用によって、自分でも気づいていなかった、その人本来の姿が現れ出てきたのです。

植松:その後は、ToBeingsの皆さんに伴走してもらいながら、働く場所と時間を自由にするチャレンジと課題抽出を繰り返しながら、不具合を調整していきました。そうしたら最終的に、メンバー全員が、自分たちの意志で、働く場所と時間をかなり自由にできたのです。やってみたら、意外と難しくなかったのです。現在も、調理パン課ではそのチャレンジを継続しています。働きやすくなったことは間違いありません。

――この変容トライアル伴走の第1回・第2回セッションでは、参加メンバーの皆さんはこの場でどうふるまえばよいのかわからない様子で、やや戸惑っていました。

ところが第3回で、「望ましい未来の働き方」について、一人ひとりが自分の大切にしたい価値観とつなげながら話した後は、雰囲気がガラリと変わった感覚がありました。そこからは基本全員が総立ちで、皆がホワイトボードの前に入れ代わり立ち代わりやってくるような場になりました。「自分たちのプロジェクト」になったのですね。

そうしたら、各自の「本当はこうしたい」という想いが溢れ出てきて、アイディア出しが一気に加速し、最終的に「働く場所と時間を自由にしたい」というアイディアが生まれたのです。対話のなかでは、たとえば「故郷に戻って、大切な家族や友人とつながりながら働きたい」「未来に実現したい仕事につながる学びを諦めたくない」といった想いが次々に語られました。この後、働く場所と時間を自由にするチャレンジのなかで、短期間ではありますが、故郷に戻って働くことを実践した方もいました。子育て中のママさん社員の「仕事も子育てもハッピーにやりたい!」という想いの強さも印象的でした。各メンバーの望む働き方の一歩目が、ほぼ実現されていったのが本当にすごいと思いました。皆さんがこんなに早く変容するなんて、想像できませんでした。

組織変容を起こすには、「関係」をまるごと変えることが極めて大事だ

執行役員 チルド商品部 部長|喜屋武 貞史 さん
――皆さんは2年以上、私たちとともに組織開発プロジェクトを進めてきました。まだ道半ばですが、いま振り返ってみて、どのような感想を抱いていますか?

喜屋武:企画チームも椿山荘オフサイトミーティングも変容トライアルもそうでしたが、最初は社員たちに、半ば強制的に対話の場に参加してもらう必要があります。ところが、ToBeingsの組織開発アプローチでは、チームを組成して参加してもらうところまでこちらがお膳立てすれば、あとは皆が主体的に話し出し、変わっていくのです。何度か経験して、そのことがよくわかりました。こうやってある程度の時間をかけて、現場社員が自分たちで変えていくプロセス、何かを創っていくプロセスが大事なのですね。

――そのとおりです。ですから、調理パン課の皆さんが創りだした制度やアウトプットを単に横展開するだけでは、きっとうまくいきません。大事なのは、各チームが自分たちで話し合って、自分たちに必要な働き方を各々創りだすことです。

ToBeingsのアプローチでは、現場社員一人ひとりが、「自分でできる!」「対話は楽しい!」「自分がどうありたいかから考え、行動を起こしていいんだ!」「上司や上層部に意見していいんだ!」などと気づく学習プロセスが欠かせません。これは子どもの成長プロセスと似ています。子どもの成長には時間がかかりますが、一つひとつのプロセスをパスすることはできません。同様に、現場社員たちの自己変容を促すには、ある程度の時間と愛情が必要なのです。

ただし、このとき現場社員たちだけでなく、上司や会社全体も一緒に変わることが肝要です。組織変容を起こすには、「関係」が丸ごと変わることが極めて大事なのです。経営と現場のどちらか片方だけが変わっても、絶対にうまくいきません。効果はすぐに消えてしまいます。ところが両方が一気に変わると、組織は信じれられないほど一変することがあるのです。なぜなら、すべての問題はどちらか一方ではなく、両者の「関係」から生まれているからです。今回は、現場の皆さんだけでなく、喜屋武さんや浅野さん、植松さんも一緒に変わったから、これほどの組織変容が起きたのです。

喜屋武:確かにそうかもしれません。

植松:調理パン課では、いまやメンバー個人が場所と時間を自由に決めるのが当たり前になっています。たとえば、誰かが「今日は7時~14時で働く」といえば、周囲が「じゃあ、私はこの時間にする」と自然に調整するのが普通になっています。おかげで、課長の私が調整することがかなり減りました。

――これから出産・育児を希望する女性社員たちは、かなり仕事を続けやすくなったのではないでしょうか?

植松:その通りだと思います。社内でも、ああいうふうに働いていいのだという空気になってきていますから。

喜屋武:とはいえ現状、この変革はまだ2つの課だけにとどまっています。商品部全体に波及しているわけではありません。私が個人的に興味を持っているのは、新卒社員たちがこれから現場に配属されたとき、調理パン課と自分の課の違いをどう思うのかということです。もしかしたら、新卒社員たちが会社をさらに変える原動力になってくれるかもしれません。

――チーム全体がガラリと変われば、その変化は当たり前になります。ところが、変わる前には重さがあって、なかなか変化しません。誰もが社内の空気、チーム内の空気で動いていることがよくわかります。

ToBeingsからは良い意味で答えをもらえない。自分たちの意志やパワーが試される

――さらに、喜屋武さんと植松さんは、ToBeingsの「今ここから始まる組織進化の実践講座」を受講しています。感想を教えてください。

喜屋武:これまでとは違う視点で、チームや会議や物事を眺めるスキルを得られました。たとえば、「チームは会社の縮図だ」という視点は、過去の私にはありませんでした。この視点で社内を眺めると、いろんなことが違うふうに見えてくるのです。

植松:この講座では、一言でいえば「ファシリテーターが何をしているか」を学んでいます。なかでも参考になっているのは、「話し合いの噛み合わせを良くするスキル」です。課のミーティングなどでも、対話がちょっと嚙み合わないために、話がなかなかまとまらないことがよくあるのです。こういうときにファシリテーターが嚙み合わせを良くするだけで、場がスムーズに動き始めるのです。このスキルはマネジメントでも非常に役に立つと感じています。マネジャーがファシリテーションを学ぶ意義はいろいろとあります。

――最後に、皆さんが感じるToBeingsの特徴と、私たちを選んでいただいている理由を教えてください。

浅野:組織の根本にあるのは「関係」です。上司・部下や同僚などの人間関係はもちろんのこと、組織同士の関係、場の空気や風土との関係など、ありとあらゆる関係が組織を規定し、さまざまな問題の根本原因になっているのです。しかし、これらの関係を適切に取り扱うのは難しいことです。思い返せば、私や喜屋武は、社員たちを抑え込んでいる「関係の障害」を解消できずに苦しんでいたのです。ToBeingsの皆さんは、私たちの代わりに社員たちの対話の場を設けて、その障害を取っ払う支援をしてくれました。ToBeingsは、あらゆる関係を適切に取り扱える稀有な存在だと思います。唯一無二ではないでしょうか。少なくとも私は、他に似たような人たちを知りません。あと、児玉さんのグラフィックファシリテーションの技術が素晴らしいと感じています。児玉さんの描いたビジュアルを見るだけで、そのとき何があったのかをよく思い出せるのです。

喜屋武:ToBeingsの皆さんと出逢う前、私たちは「何とかして退職者を減らさなくては」と思っていました。しかしいまは、とにかく退職者を減らすことが第一だ、とは思っていません。それ以上に、「退職者たちの退職理由をより良くすることが大切だ」と考えるようになりました。つまり、社内により良い関係や風土を構築することが最も大事だ、と思うようになったのです。だからこそ、私は関係の難しさをこれまで以上に感じています。私たちがToBeingsとの付き合いを継続しているのは、関係の難しさを熟知している人たちだからです。私たちと同じように社内の関係や風土を変えたいと思う人には、ぜひToBeingsをお勧めします。

植松:ToBeingsからは、良い意味で答えをもらえません。「こうしなさい」とか「こうしたほうがいい」などと言わない代わりに、良い距離感で付き合ってくれるのです。ですから、私たちから意志やパワーを発しない限り、組織開発プロジェクトは決して前には進みません。ToBeingsのアプローチでは、自分たちの意志やパワーが常に試されるのです。それが成功の秘訣だと思います。