経営者のビジョン、組織のパーパスを言語化し、サポートしてきたアイディール・リーダーズ株式会社。
代表の永井さんは、常に学びを得ながら、自身の進化を追い求めています。本講座を通じて、メンバーの育成も視野に入れた学びをどのように吸収していったのか――――詳しくお話を伺いました。
永井 恒男氏/アイディール・リーダーズ株式会社 代表取締役CEO
2015年にアイディール・リーダーズ株式会社を創業。上場企業の社長・取締役に対するエグゼクティブコーチングや、パーパス、ビジョン構築を通じた組織開発コンサルティングを行なっている。2019年に「会社の問題発見、課題設定、問題解決」、2021年12月に「パーパス・ドリブンな組織のつくり方」を上梓。
WebマガジンBizjinにてPurpose経営に関する記事を連載中。社内では12名の社員のマネジメントにも奮闘している。
――――コンサルタントとして様々な研修・講座に参加することも多いと思います。本講座にはどのような期待を持っていましたか?
コンサルタントである以上「勉強しない」という選択肢はあり得ません。弊社は社員全員が、1人年間100万円ほどの予算を使って、それぞれに必要な学びを得ています。
洋二郎さん(注:弊社代表橋本)には前々から「教えてもらいたいな」と希望していたんですが、ようやくチャンスが巡ってきて楽しみにしていました。というのも、プロセスワークのニュアンスについて、もっと勉強したかったんです。
10年ほど前、コンサルタント向けにプロセスワークを教えるという取り組みがあり、その時に洋二郎さんも一緒に参加していたのですが、僕としてはあまり活用できなかったんです。
僕の印象だと、その領域を活用したファシリテーションっていうのは洋二郎さんがピカイチだし熟達してるんだろうなと。
「自分の知らない何かについて学べるなら、飛び込みたい!」と思って参加しました。
――――実際にどのような学びを得ましたか?
僕のやってきたファシリテーションについてはもちろん、ファシリテーションに必要な全体像が言語化されたことはありがたかったです。直接介入、間接介入などを含めたファシリテーションのパターンや、ファシリテーターとしての発達段階について「成人発達理論」「ティール組織」をもとに整理されていますよね。どういう順番で学べば、ファシリテーターの原則を身につけていけるのかが分かりやすくなっています。特に非言語領域を言語化している点は、他に類を見ないと思いました。
僕はメンバーをファシリテーターとして育成していきたいと日々考えていますが、そのためには「全体像」を伝えていくことが大切になります。
ファシリテーションについて知っていることを、どう体型的に整理して、伝えていくのか。さらにどうやったら一流のファシリテーターを育成できるのか。そういった洋二郎さんの頭の中にあるものを教えてもらえましたね。自分が取り組んできたプロセスを言語化し、次にどのステップを目指せば良いのかを整理し、伝える方法がつかめたと感じています。
非常に参考になったのは、「ファシリテーターの発達段階について、順番立てて整理した内容を、分けて伝える」という点です。日本語の表面的な意味だけを伝えると、どうしても理解が浅くなるじゃないですか。例えば、「今ここ」という言葉の意味を本当に理解しようと思ったら、禅について学ばないといけない。しかし世界観をすべて理解しようとすると、深すぎて難しくなってしまいますよね。
すぐに実践できるポイントを抑えつつ、深く学習できるステップを踏んでいる講座プログラムになっているところが、良かったと思います。また、初心者も熟練者も、同じ場で学べる環境だったのも素晴らしかったです。「まだできなかった頃の気持ち」を理解しなければ、組織の中で実践できませんから。
――――ファシリテーターにとって大切なポイントを、永井さんならばどう伝えますか?
本講座で学んだプロセスをもとに答えるなら、「組織にいる全体がファシリテーターであり、リーダー」であるわけです。もしそれが実現できれば、今よりももっと組織や社会は良くなるでしょう。ただ、その自覚を持っている人は少ない。もしかして、今回学んだプロセスを活用すれば「そうだったのか!」と変わる可能性はあるかもしれません。
「ファシリテーションはできるけど、営業はできない。アポを取るなんて雑用ですよね」なんていうメンバーがいたりすると、僕なんか腹立たしくなっちゃうんだけど、洋二郎さんみたいに伝えたら良いのかと気が付きました。ワークショップだけがファシリテーションの場ではなくて、会議もアポ取りもすべてファシリテーションの一環なんですよね。
――――本講座に参加してみて、ご自身の中でどのような成長を感じましたか?
自分の腕前を上げて、バージョンアップできた実感はあります。特に、今回は「シグナル」に関する見方が甘かった自分を発見できました。もちろん知識としては知っていましたよ。
実は僕、人の顔色をうかがって生きてきたからか、EQスコアが人にびっくりされるくらい高いんです。そのため、他者や場に現れるシグナルにはとても敏感です。その一方で、自分自身の変化には鈍感でした。今まではそれを「シグナルとして捉える」という意識がなかったのですが、きちんと捉えられるようになりました。
それからロールプレイング。正直、これまでは少し懐疑的だったのですが「ちゃんとできれば、スキルアップに活かせる」と分かりました。相当鍛えられますよね。巧妙に作ってあるロールプレイングで経験を重ねれば、さらに自分自身がアップデートできるのではないでしょうか。
洋二郎さんがやろうとしていることがどんどん進化していく様子を、これからも見ていきたいです。そしてそこから学びを吸収していこうと思っています。
【まとめ】
すでにファシリテーターとして活躍されている永井さんの、ご自身の腕前をさらにバージョンアップすると同時に、ファシリテーターを育成していきたいという思いを強く感じたインタビューでした。
印象的だったのは、「非言語領域の言語化ができた」という表現。
「できる」ことと「教えられる」ことは違うとはよく言いますが、自分ができることを第三者に伝えるときの難しさは、さまざまなビジネスシーンにおいて直面する課題の一つです。
永井さんは、ご自身がバージョンアップされた実感だけでなく、一流のファシリテーターを育てるための武器も手に入れられたのだろうと感じました。
熟練者と初学者が、同じ場所で同じプログラムを受けながら、それぞれに必要な学びを得られる本講座。
熟練者である永井さんが、自ら学び続け吸収していく姿は、ともに講座で学ぶメンバーにとっても大きな刺激やヒントになっているように思います。
Interviewer 丹羽 妙(弊社広報)
Writing 林 美夢(ライター)