昨年9月より4ヶ月間にわたって開催された「今ここから始まる組織進化の実践講座」。合宿形式による入門講座、さらにオンライン形式で学ぶ本講座を通じて得た学びの変遷について、お話を伺いました。
大和ハウス工業株式会社
人財・組織開発部 次長
中川 英彦
上司や先輩社員の優しさに惹かれて、大和ハウス工業へ
──普段のお仕事と、入社されたきっかけを教えてください。
人財・組織開発部で、社員の教育を担当しています。新卒入社して30年が経ちました。いわゆる「バブル入社組」で、就活を始めた時に最初に目にした業界が「建設不動産業界」でした。当時は求人情報誌を見て就職活動をしていて、あまり何も考えていませんでした。 ところがこの時にお会いした人事の方がとても自由で、「この会社、面白そうだな」と感じて入社しました。仕事は厳しいが、その反面優しさがあり、上司や先輩にもよくしてもらって、ここまで来たと思います。
組織進化と言いながら、実は自分進化の講座だった
──当講座を受けようと思ったきっかけは?また、受けてみた感想はいかがでしたか?
組織開発について関心はありましたが、まとめて学んだことはありませんでした。そんな時にToBeingsが開催している講座があると知り、改めてきちんと勉強したいと思いました。会社としても別のプロジェクトでお世話になっていたので、「面白そう」と感じたことを覚えています。 最近は他の企業でも、組織開発・ファシリテーションについて学ぶ講座がありますよね。ほとんどの講座は、「スキルの習得」が重視されています。そのため、組織進化の実践講座もスキルを学ぶのかと思ったのですが、実際は違っていました。もちろんスキルも学ぶのですがその奥にある本質についても学べたと思います。 まずは自分の中にある思考のパターンや勝ちパターンを一旦横に置いてみる。そして、新しいものを取りに行く…これが重要だと頭では分かっていましたが講座でロールプレイを繰り返すと、実際にはできていなかったと感じました。組織進化と言いながら、実は“自分進化”の講座だというのが一番大きかったです。
弱みと思い込んでいた「自分の強み」を素直に出してみる
──講座を通じて印象に残っていることはありますか?
この講座を受けて「自分が持っている強み・弱みは表裏一体。場面や状況によって変わっていく」と気づきました。 実は、ずっと自分の強みだと感じていた部分が、30代・40代・50代と年を重ねるうちに通用しなくなってきていました。自分の環境やポジションが変わると、周りからの見られ方も変わります。強みを発揮するとスムーズに仕事が進まないこともあり、「強みだと思っていた点は弱みだったのかも」と抑えてしまっていました。 でも、今、50代半ばになって、干支でいうところの「一周して元に戻った」方が自分らしいというか、自分の強さが周囲に波及していけるのではないかと感じられるようになりました。 具体的には、講座内でロールプレイをした際に、自然にやってみたら参加者の皆さんに賞賛されたことがありました。その時に「えいや」と自然にやれたなという感覚を得たし、その感覚が「干支の一回り」に似ている感じがしました。
──講座を受けてみてから、意識されるようになったことはありましたか?
自分の内側で感じていることや思いを、もっと表に出すことでしょうか。なるべく直球を投げ込むようなコミュニケーションを意識するようになりました。 その方がストレートに伝わると思ったからです。 加えて部下・メンバーとのやり取りも、少しずつ変えていこうとしています。結局、半径2メートルにいる人たちとどう関わっているかがすべてに表われていると、講座中にも気づきました。 まだまだですが、できる限りメンバーが提案してきたアイデアは実現してもらえるように、行動しています。今までは「キャリアが長い自分の方がなんでも知っている」と無意識に感じて、「こうすべきだ」と抑えるように伝えていました。メンバー側からすれば、閉塞感を覚えていたかもしれません。だからこそ、メンバーの発言の意図や文脈を意識するようにしています。
対話の深さが変わっていく手応えを感じ始めた
──講座を終えて、ご自身の中で何か変化はありましたか?
ありました。入門講座・本講座とトータルで4ヶ月間、学び続けましたから、自分の投げるコミュニケーションのボールが変われば、相手も変わると実感しました。 まず会話がしやすくなりましたね。今までは「ちょっと言いにくいな。拒絶されるかも」と気にしていたことも、遠慮せずに深く話せるようになったと思います。 仕事上でも立場・役割上言うことと、その人が本当に思っていることが違っていたりしますが、表面的な現象・言葉だけで考えず、「どこかでお互いに繋がって合意できる点があるはずだ」と思えるようになりました。これは以前から頭では分かっていましたが、講座の学びの影響が大きかったですね。 さらに、社内でも新しい取り組みを広めていくデザインチームができました。小さい規模での変革はそれなりにできても、全社的にどう展開していくのか──そうした悩みは私にとっても、部署にとっても共通の課題となっています。こじんまりと終わらせず、デザインチームとともにいかに広めていくか。時間はかかりますが、仲間を徐々に増やし、積み上げていくことが大切だと思います。 また、これまで上位職の方々とのやりとりの中で、『これは保身ではないか』と思うようなことも正直幾度となくありました。 でも、この講座で学んだエルダーシップの目線で眺めてみると、あの時は自分の想像力が足らなかった、視野が狭かったなということをあらためて感じることができるようになりました。
お互いの関係性の中で成り立つ組織は、まるで“生き物”
──講座で得た学びを活かし、さらに探求したいことはありますか?
この講座を通して、組織は生き物なんだということを感じました。人間も組織も、いろいろな細胞で成り立っていて、動きながら、繋がっている。関係性が発生しているものはすべて「生き物」だと改めて思いました。 だからなのか、文化や人類の歴史、リベラルアーツに関する本を読んでみたくなっています。経営者がなぜ、こうした分野について学んでいるのかも理解できました。原理を理解することは、物事を判断する際に必要になります。そのために、世の中や組織の奥に流れているものを知ろうとしているのだと腑に落ちました。
──当講座はどのような方におすすめしたいと思いますか?
万人誰でもいけると思います。ただ、学べる深さは参加する方の状況によって異なるかもしれません。 現場でマネジメントをされている方、特にマネジメントに迷い、葛藤、ジレンマを持っている方であれば、より一層おすすめです。 また、HRBP的な役割を持っている方にはマッチすると思います。組織という“生き物”をマネジメントするには、たくさんの矛盾と向き合うはずです。こうした講座の場で普段接することのない様々な人と接することで、普段は出てこない気づきを得ることができるのではないでしょうか。